独断的自転車論2




前回はフレームやホイールなどの大物をいったので今回は小物類。


ハンドル

早い話、フレーム(要フォーク)にホイールとタイヤが付いていれば後はハンドルさえあれば
何とか乗れる。というくらい重要なパーツ。

ある意味自転車の顔。

大きく分けてMTB用とロード用があり、違いは真ん中の太い部分の直径。
クランプ径と言うが、最近のオーバーサイズと言われる太いものはどちらも同じ31.8mmで、
スタンダードサイズと呼ばれるものがMTB用の25.4mm(1inch)に対し、ロード用が26mm。
このへんはヨーロッパ起源でメートル系の単位を採用しているロードと、アメリカ起源でインチ・フィート系の
単位を採用しているMTBの違い。

形状は様々あり、MTBによく使われるフラットバーやライザーバー。
スポーツ用自転車というと真っ先に浮かぶドロップバーや、最近良く見かけるブルホーンバー。

オートバイのハンドルの様なフラットタイプはコントロー性はいいが長時間乗っていると
手首が痛くなる。
乗っているときの手首の角度がいつも一緒なのが原因だと言われている。
対してドロップバーは持つ場所により手首の角度だけでなく上体の姿勢も変わるので
長時間乗るのに適している。

ブルホーンバーはもともとタイムトライアル用の自転車に使われていたもので、これだけで
完結するものではなく、さらにエアロバーなどをつけて使うもの。
ハンドル単体での空気抵抗はドロップバーより少ないが、下ハンのポジションがとれないので
機能的にはドロップバーに劣る。

やっぱり自転車のハンドルはドロップバーが最強なのである。ドロップバー、サイコー。
特に下ハンと言われるポジションはパワー効率、空気抵抗、コントロール性、乗り心地、
ほぼすべての点で大変すぐれている。

パワー効率、空気抵抗についてはいまさら言うまでもないが、上体の保持力が高く、力点が
低い安定したポジションがとれるので荒れた林道の下りでも十分コントロールできる。
ただし、上体の前傾度がきつくなるので前のめりになりやすいのと、視界が低くなりがちなので
あまり過信しないほうが良い。

また、下ハンを持ったときハンドルの途中のカーブが多いので衝撃の吸収性が上がる。
ブレーキフード部を握ったときと比べてみるとわかるが、明らかに手首にかかる衝撃が少ない。

まさにいいことづくめ。ドロップバーを付けていて下ハンを使わないなんて、F-1に軽トラ用の
タイヤを履いてサーキットを走るようなものである。

ただ、抜群の効率と乗り心地を誇る下ハンだが、ハンドル形状によってはこのポジションをとり
にくいものもある。
具体的に書くとエンド部分が下がっているものは使いにくい。
ハンドルを持った手がどうしても後ろにずりさがってしまう。

アナトミックと呼ばれるブレーキレバー下方に直線部分を設けたものも使いにくい。
伝統的なラウンドタイプのほうが状況によって持つ場所を変えやすいことに加え、前後方向に
力点の幅が広がるので上体を固定しやすい。

クランプ部とエンド部の落差(ドロップ)は少ないほうが一般的には使いやすいと思う。
レースなどで低いポジションが必要ならばこの限りではない。

材質はハンドルのように他のパーツから絞めつけられる物はカーボンは向かないと思っている。
特にドロップバーはブレーキレバーの取り付けバンドで傷が付きやすいのでラフに使えるアルミが良い。

そこでおすすめのハンドルはFSAのウイングプロ31コンパクト。
製品名を出すのもどうかと思ったのだが、このハンドルは素晴らしい。
ブレーキレバー付近の曲がりも持ちやすいし、ショートリーチ・コンパクトで落差が少ないので
多くのシチュエーションで下ハンを使うことができる。
さらにハンドルエンド部がやや上に反っているので手の安定感が半端じゃない。

悪いこと言わないので一度使ってみなさい(責任は持たないけど)。 FSAさん、なんかくれ!!


ステム

ハンドルとフォークコラムを結ぶパーツ。

別になんでもいいと思うが、クランプ径が微妙に違っていたりするので同じメーカーが無難と
昔教わった。最近の製品はどうなんだろう。

今まで使ってきていつも何かしらトラブルの原因になっていたのがこのステム。
1年以上使っていると必ずステム付近からギシギシ音がするようになる。たまたま不運が重なった
だけかもしれない。
ただ、今使っているステムはノートラブル。すこぶる調子がよろしい。

このパーツはカーボンでもいいと思う。でもアルミを使っている。


ヘッドパーツ

スレッドタイプとAヘッドタイプがある。

Aヘッドタイプは剛性が上がり、メンテナンスも楽なので最近のスポーツサイクルはほとんどこのタイプ。
さらに、上ワンと下ワンの径を変えさらに剛性を上げたタイプも出始めている。

スレッドタイプは高さ調整が楽なのでママチャリや、子供用自転車によく使われる。

シンプルでナローなスタイルのためにスチールフレームの自転車に使うことも多いみたい。

Aヘッドタイプで高さを調整するときにはスペーサーといううパーツを使う。
カーボンは引っ張り剛性は高いが圧縮剛性はたいしたことなのでステムとヘッドパーツの
間に入れるスペーサーはアルミが良い。


サドル

サドルは人によって千差万別なので色々試すしか無いと思うが、最近では様々な形状のものが
市販されている。
座面の形状は座面がフラットなものと、中央が弓なりに凹んだものに大別でき、さらに中央に穴の
開いたス◯ベ椅子タイプや、二股にわかれたものなどがある。

ただ、おしりが痛くなる原因はサドルだけではなく、乗車ポジションも影響する。
ドロップハンドルの自転車に乗っていておしりが痛くなったときには、下ハンを持っておしりにかかる
荷重を減らしてやると痛みがなくなることもあるし、同じサドルでもMTBに使うとすぐ痛くなったりする。
さらにサドルの取付角度ちょっと変わっただけでも乗りやすさに影響するので交換する前に
色々試してみるとよい。

形状によるペタリングだが、中央が弓なりに凹んだタイプはシッティングで踏み込むときに力を入れやすく
高回転で回したとき腰が落ち着きやすいが、反面腰の位置が固定されてしまうため、幅広い回転域に
対応しにくい。
ピンポイントの回転数にあわせ、こまめなシフトチェンジをしていく乗り方にあっている。

フラットタイプは腰の位置を状況にあわせ調整できるので様々の状況に合わせやすく、ひとつのギアの
守備範囲が広がる。

ちなみにいままで使ったことのあるサドルは、「サンマルコ コンコール」、「セライタリア フライト」
「セラサンマルコ アスピデ」 「フィジーク ゴビ」 「フィジーク アリオネ」。
最近は「アリオネ」がお気に入り。


シートピラー

サドルとフレームを結ぶパーツ。

本来ならアルミがいいと思うが、スチールフレームに使うと電蝕を起こして抜けなくなるので
気を付けないといけない。

最近ではインテグレーテッドシートポストと言ってフレームと一体になったものもあるが、別々のほうが
いいんじゃないかなー。
高さ調整がしにくい上に、サドルクランプを自由に選べない。

サドルクランプは2本締めがお進め。
締め付けトルクが少なくても十分固定できる。
サドルの角度はシビアなもので、それこそ1度単位で微妙に調整するんだが、一本締めサドルクランプの
ネジの締め付けが甘く、道路の段差を超えたときの衝撃でサドルの角度が変わり、何度天を仰いだことか。

後、シートポストクランプなんていうのもある。

特にカーボンシートポストを使うときには斜めに割りの入ったものを使わないとシートポストを破損することがある。
おすすめはカンパニョーロの物。カッコイイ。


ブレーキセット&変速システム

最近のロード用コンポではブレーキレバー、ブレーキ本体、変速機がセットになっているので
選択肢は殆ど無い。
メーカーとグレードを決めれば自動的に全部揃う。
同じメーカーなら各種グレードを取り混ぜて使うことも可能だが、あまりメリットがない。

つまらない世の中になったものである。

反面、メーカーお仕着せのコンボから外れたことをしようとすると、とたんに選択肢が減るのも最近の現状。

つくづくつまらない世の中になったものである。

シクロクロス車の場合、タイヤ幅の関係と泥づまり対策でロード用サイドプルが使えないので
通常カンチレバーと言われるブレーキを使う。
ブレーキレバーはロード用のものがそのまま使えるので大丈夫だが、サイドプルに比べ効きが悪い。

変速機は・・・、なくても乗れます。

ただ、あったほうが確実に効率は上。付いている方が良いと思う。
でも、変速機がないと自転車が軽い。
変速機にしろ、変速レバー一体ブレーキレバーにしろ、結構な重さがあり、それが重心から離れた場所に
インストールされているので、思った以上に重く感じる。
シングルスピードのバイクが数値以上に軽く感じられるのはこのへんが影響しているのかもしれない。

さらにパワーの伝わり方もチェーンラインが素直なせいで効率が良い。
ギア一枚でも思った以上に対応力は高い。

ブレーキワイアのルーティングは右前と、左前がある。
日本では一般的に右レバーで前ブレーキを操作するが欧米では左レバーが前ブレーキ。
欧米が中心のスポーツバイクの場合、パーツは左レバー前ブレーキに合わせて作られているので
このほうがスムースなワイアリングができる。
変速レバーは左が前なのでさらに分かりやすい。

自転車を綺麗に仕上げるなら試してみる価値がある。
でも慣れてないと危険なのであくまでも自己責任で。

ちなみに私は20代の頃からずっと左前である。いや、運が傾いているというわけでは・・・、あるかも。



2011.1.17 *** Hiroshi Yae -- E-Mail: h_yae@sa2.so-net.ne.jp -- Twitter: @h_yae ***