普天間基地移設問題
民主党が政権をとってから紆余曲折の末、米軍海兵隊普天間基地の移設先の大枠が見えてきた。
結局は以前からの案通り、辺野古キャンプシュワブ周辺の海岸を埋立てV字型飛行場を作ること
で決着する見通しだ。
もともと辺野古には旧日本海軍の弾薬庫があり、太平洋戦争敗戦後アメリカの統治に伴い1956年
より米海兵隊がキャンプシュワブとして利用している。
現在は第3海兵師団戦闘強襲大隊の実弾射撃訓練、強襲揚陸演習、第4海兵連隊他の実弾射撃訓練
に使われている。
実弾射撃訓練により今まで原野火災が15回延べ面積730,500平方メートルが消失。
その他CH−53やUH−1の墜落、誤射等が起きている。
半年近くの時をかけ結局はほとんど原案どおりとなったわけだが、本来が日本一国の、しかも政
府だけで話が決まる問題ではなく、地元住民、アメリカ政府、海兵隊などと協議し、且つ日米安
保条約、極東の安全保障、日本の国防戦略、米の極東戦略、地元住民の経済、安全、自然保護等を
考慮し決定していかなくてはならない問題で、たかが半年で覆すことは平時ではまず不可能な事案だ。
特に米四軍の新たなる世界戦略に則った基地の再配置が始まったばかりであり、このような時期
に基地移転はまずありえないと思う。
だが、東西二極化の冷戦時代が終わり、さらに国家間の大規模な戦闘がほぼ起こり得なくなった
今日、日米安保条約、ひいては日本の国防について新たな指針を策定していかなくてはならない
時期になっていることも確かだ。
そもそも、国家が国家たるに必要なもの、国土、民、言語、通貨、国防の一つである国防を他国
に頼っている現在の日本は真の独立国家とは言えず、国際政治で米の意見に左右され独自性を出
すことが出来ずにいる。
これはなにも安保条約を廃棄して核配備や再軍備をしろと言っているのではない。
少なくとも現代の国際政治において軍事力は他国を侵略するためというよりは砲艦外交のコマと
いう側面が強い。
軍事力によらない国防も含めもう一度日本の国防というものを真剣に考えるべきだと思うのであ
る。
ただのお騒がせに終わった感のある鳩山発言ではあったが、世の中の「Change」は突然起こるの
ではない。
各国国民の意識の変化がそれぞれの政府を動かし、ひいては国際社会を作っていく。
今まで、米軍の沖縄駐留を当然のこととして受け止めていた日本人が、改めて米軍駐留の是非を
考える切っ掛けになったことだけでも大きな意義があったのかもしれない。
如何な米軍とはいえ日本人の感情を踏みにじるようなことをしてまで日本に駐留しても何も生ま
ないことなどよく分かっているはずで、次期軍再編成のさいにグアム移転などがオプションとし
て検討されるはずである。
その時、また同じてつを踏まないためにも、日本人が日本の国防を真剣に考え、且つ声を上げ続
けることが必要だと思う。
2010年5月19日 八戸宏