SigmaGuitars by CFMartin&Co.

今を去ること16年
長野県は佐久市取手町
今は無きショッピングモール「リッチランド」
その中の一角にあった小さな楽器屋兼レコード屋さん
仕事の合間にたまたま立ち寄ったその店の片隅にひっそりと置かれた一本のギター



何故かCFMartin&Co.のロゴがサウンドホール内とヘッド裏にある謎のギター

SigmaGuitars
by
CFMartin&Co.
Authorized by C.F.Martin. Nazareth PA. U.S.A.
MODEL No. SHD-28LSH
SERIAL No. S073013
MADE IN JAPAN

とラベルには印刷されていますが

この中の
Authorized by C.F.Martin. Nazareth PA. U.S.A.

アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 ナザレのマーティン社公認
ということでしょうか


外観はヘリンボーンバインディングのマーティンHD-28
ヘッドにはトーチインレイとクルーソンタイプのペグに
ピックガードはべっ甲柄といったビンテージタイプ

材質は
トップ:スプルース
サイド&バック:ローズウッド
ネック:マホガニー
指板:エボニー
ただしサイド&バックは合板



ヘッドのトーチインレイと小さめなツマミのペグがビンテージっぽい




美しいヘリンボーン(Herringbone:”ニシンの骨”の意)バインディングの細工


ブレイシングはスキャロップドで内側もHD-28仕様になっているようだ。(本物のHD-28は見たこと無いけど)
でも指板にポジションマークも無いし、サウンドホールがやたらでかい。謎だ。
後で解ったのだが これはクラレンス・ホワイトというギタリストの使用モデルを再現したものらしい。
でもそんな人全然知りません(有名な人なんだろうけど)。
どうやらこのシリーズはCFMartin社のプロデュースで 愛知県の寺田楽器という所で作っていた模様。

つい魔が差して勢いで買ってしまったのだが
それなりに音は良いけど、なんだか弾きにくい。
弾きにくいギターは弾きたくない。
そんなこんなであまり弾かないままケースに入ったまま数年が過ぎ、友達に貸したまま数年が過ぎ、
帰ってきてから更にケースの中で数年を過ごすことになる。

先日久しぶりにケースから出してみると、
年数を重ねて材が乾燥し、音は以前より良くなったような気がする。
ネックのソリもないし。
が、弾きにくさは相変わらず。(※使用者個人の感想です)

弦高を下げると弾きやすくなるらしい。

このギター 弦高が高いのは当初から気になっていました。
弦高を下げるにはサドルを削るか、交換するかのどちらかですが、
こいつのサドルはロングタイプなので直角度と平面度をきっちり加工する自信が無いのと面倒くさいのとで、
今までオリジナルのまま放って置いたのでした。

弦の下敷きになっている白い細長いのがサドル

このままではまたケースの中で深い眠りに就くことになりそうなので、この際弦高を低くする。

とりあえず現状の12フレットでの弦高を測ってみると・・・。 

なんと
4mm

いくらなんでも高すぎ(定規が傾いていますが4mmは確実にあります)

目標は2.5mm

手っ取り早いのは今付いているサドルの底面を削って調整する方法。
でも削るとき直角度と平面度をきっちり出さないと弦の振動をボディにうまく伝えてくれません。
ということで今回は失敗したら元に戻せるように、サドルを交換することにします。

材質はやっぱり牛骨が良さそうかな。
101.5×2.6×11.5mmという寸法で税込630円と安いし。

ネットのおかげでこんな田舎でもサドルの材料が手に入ってしまうご時世。
小さいものなのでメール便で送料も安いし、有り難い。

この大きさなら二つ取れそうなのでとりあえず半分に切断。(一個失敗しても良いというのは気が楽です)
線を描いて、これをノコギリとヤスリで整形していく。


厚さも削らないと溝にはまらないのだが、
今までのサドルは年数が経ったためにブリッジが乾燥して収縮したせいか、
ゆるゆるで弦交換の時にサドルが外れてしまうので、
溝にぴったりになるように調整しながら慎重に削る。
今まで付いていたサドルの厚さの実測値は2.41〜2.44mm
今回購入したものを測ってみると2.63〜2.66mm
溝に合わせながら2.49mmまで削ると若干きつめでいい感じ。

上がオリジナル、下が新しく作った物(これなら結構低くなりそう)


早速取り付けてみる

ここまで下げちゃったけど大丈夫なんだろうか?

そして弦高を測ると

ジャスト2.5mm!

凄い!流石!見事!天才!(※意見には個人差があります)


で、肝心の弾きやすさはというと 

見違えるほど弾きやすい!
レスポンスも良くなったように感じますし、まさかここまで変わるとは。
まるで全然違うギターです。(※使用者個人の感想です)

(弦高を下げたおかげで、テンションも低くなります。それも弾きやすくしている要因になっているようです)

(※効果には個体差があります)

音は、というと、ちょっと軽くなった感じ。
といっても変に薄っぺらい音ではないので良い感じです。
欲を言えばもうちょっと重厚感があって深みのある音だといいのですが、
本物の1/3くらいの価格ということを考えるとこれ以上望むのは酷でしょう。
ただ今回は弦は交換せずゆるめてサドルだけ交換したので、
新品の弦か高級な弦を張るともっと良い音になるはずだし、
今回作ったサドルは弦との接触部をRにして線接触(面接触)になっているので、
エッジを立てて点接触に近づけるとサスティーンがもっと伸びるんじゃないかと思う。
でも加工するのももう飽きたので
とりあえず新品の弦 若しくは違うブランドの弦でこれに合うやつを探してみようと思います。



ギターはオール単板だから良いってもんじゃありません。
良い合板を使えば、出来の悪いオール単板の物より良い音が出るものです。
(※使用者個人の感想です ※意見には個人差があります)