ファインダー



いつの頃からか、いつも傍らにカメラがあった。

高校生の時、写真部に入って友達の写真を撮っていた時。

カメラマンを目指し、上京して目新しい都会の街中を撮ってい時。

好きな女の子を少しでもきれいに撮ろうとシャッターを押していた時。

そして結婚して、子供ができて、保育園、小学校と子供が大きくなって・・・。





いろいろな仕事の現場はもとより、人生の節目節目や、大切な瞬間はいつもファインダー越しに見ていたような気がする。

「大切な時くらい、ファインダー越しではなく直接肉眼で見ていたい」そう思った時もある。

そう思って、カメラを持ち歩かなかった。

でも、何か落ち着かない自分に気がついた。

今この時を常に外から見ている自分がいる。

物語の主人公になっても、いつも意識の中にはカメラを構えた自分がいて全体を見ている。

コンパクトカメラしか無ければコンパクトカメラで撮りたくなるし、それもなければ携帯のカメラで撮ってしまう。

記録として残すという目的以上にシャッターを押さずにはいられない自分がいる。

生まれた時からそういう人間だったとは思わないが、今更カメラを手放すことはできそうもない。


だからこれからも、人生の大切な瞬間はいつもファインダーの中にあるんだろうと思う。