東洋一


太陽視黄経が150度となる処暑を過ぎ、先日までの厳しい暑さも落ち着いた今日この頃であるが、皆様いかがお過ごしだろう?

さて知る人ぞ知っている(アタリマエだ。知らない人が知っていたらチョット怖いぞっ!)のだが、我が家は「オマチ」と言われる地域で
はなく、自然環境が豊かな場所に建っている。(決してド田舎などと呼んではいけない!)

で、家の周りをリンゴ畑やらブドウ畑やらが取り巻いているのだが、先日その畑でSSによる消毒作業が始まった・・・窓を閉めても
何処からか消毒の臭いが入ってくるし、何より暑い!(我が家は地球環境にやさしいノーエアコンの家である)

で結果的に追い出されるように外出するハメとなった。あれこれと考え、行き先は以前から興味があった臼田宇宙空間観測所
にした。なんだかネタが大幅に偏っている様な気がするが構わず放出してしまうのである。

それでは速攻で消毒臭く暑い家から脱出するのであるっ!

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宇宙空間観測所は佐久市の上小田という所にあり、小海線の臼田駅から車で40分程西方の山中にある。車を進めて行くが、
この先に宇宙科学の最先端施設があるような気配がまったく感じられない。「本当にこの道で良いのだろうか?」と不安になりか
けた頃、草が絡まれた看板が出現した。



ここを右折し山中に入っていくと道路は狭くなりブラインドカーブの連続となった。対向車などに注意しながらひたすら車を進める・・・
ひたすら山中に入って行く・・・急坂ではないが、穏やかな上り坂がずう〜っと続く・・・30分近く上り続けただろうか?・・何の前触れ
もなくあまりにも唐突に眼前の樹間にそびえ立つパラボラアンテナが出現する。まだ距離があるのに、かなりデカイ。人里はなれた山
中の「自然豊かな景色」と「最先端の科学技術を結集して造られた人口構造物」との対比がアンバランスでなんとも異様な光景だ。更に進み近くまで行く・・・パラボラアンテナを見上げ、そのとてつもない大きさに息を呑む。タイトルの「東洋一」というのはこのパラボラ
アンテナの直径である。以前WING2007年9月号で紹介した野辺山宇宙電波観測所のパラボラは直径50メートルで、その大きさ
に感動したものだったが、こちらの超巨大パラボラアンテナは更に一回り大きい・・・その直径は64メートルもある。単に直径が一回
り大きいだけでなく、反射材を支えるトラス構造物が剥き出しに見えるためか直径比よりやたらと巨大に感じられるのである。



この「超巨大パラボラアンテナ」は地球を周回している人工衛星や、遥か彼方を飛行している惑星探査機と通信し指令を送ったり
観測データーを受信したりしているのである。施設内の屋外部分は自由に散策でき、パラボラアンテナの周りをグルリと一周すること
が可能でパラボラアンテナの傍らには性能などを彫り込んだ碑が置かれている。その大きさ・重さはナルホド・・であるが、精度に関す
る仕様を見ると驚きの精密さだ。この物体はどでかいだけでなく超高性能な精密機器である。



施設内には一般者が入室可能な屋内展示室も備えられ、各種ロケットや人工衛星などの模型も展示されている。写っているの
は日本初の人工衛星「さきがけ」の模型である。




他には、WING2008年6月号「今月ののワンショット」のコーナーで紹介したISS(国際宇宙ステーション)の模型も展示されていた。
右手前にくっついているお茶筒の様な部分が日本の有人実験施設「きぼう」である。



窓の外に見える超巨大パラボラアンテナのミニチュア版も展示されている。

こちらのパラボラアンテナは観覧者が操作出来るようになっているのだが仰角の操作スイッチは操作できないよう紙を貼ってあり、
方位角の変更しか出来なかった。・・・本物のほうは大丈夫だろうな?



観測所構内には縮尺55億分の1に縮小された太陽系模型も展示されている。

この縮尺だと太陽の大きさは約25cmである。



地球の大きさはと言うと2.5mm程である。気をつけて見ないと分からないが最下行の公転速度の「度」の字の下にある青い点が
地球であり、さらにその右下のケシつぶみたいなのが月である。大きさは約0.6mmである。



敷地の一番端(本当は入り口に近いところ)には木星の模型が展示されている。いかに広大な敷地でもこの縮尺では太陽から
木星までしか展示できない。冥王星が惑星から除外された現在、一番遠い惑星である海王星を展示しようとすると更に677
メートルの敷地が必要となる。



この縮尺をもってしても一番近い恒星であるケンタウルス座のα星プロキシマ(距離4.3光年=約129万キロメートル)を展示
しようとするとその位置はオーストラリア大陸あたりとなり、さらに現在観測されている一番遠くの星(137億光年)を展示しようと
するならば月軌道の2倍程の所になる。・・・なんとも気の遠くなるような大きさである。

記事内容がWING本筋(ってあるの?)から離れ「あさって」の方向にいっているので、無理やりPC寄りの話に持ち込みフォール
する!・・・オープンソース・フリーソフト「mitaka」の紹介だ。mitakaを使うとWING2007年7月号「葛飾旅行記」で紹介したプラネ
タリウムの雰囲気を自宅のPCで楽しめるのである。137億光年の宇宙旅行をお楽しみいただきたい。mitakaをまともに動かす
には「それなり」のマシンスペックを要求されるのだが、当クラブのメンバーが愛用するマシンにはきっと「オチャノコサイサイ」だろう。

mitaka操作の一例

1. アプリの起動後、離陸・着陸メニューから「離陸・着陸」を選択。

2. マウスカーソルをウィンドウの右下へ持っていくと現れる「+」をプレスし続ける。

これだけで、地上を離れ月の軌道、外惑星や小惑星帯、オールトの雲、数々の恒星を越え、銀河系へ・・・ついには現時点で
観測された最遠方137億光年離れた銀河まで見ることができる。

4次元(X-Y-Z軸と時間軸)が自由に操作できる他、立体視も出来るなど色々と機能があるのでどうぞお楽しみあれ。きっと貴
方が生きている世界は宇宙全体の視野で見ると、いかに小さな世界なのか思い知らされる事だろう。

http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/index.html

最後にJAXA「臼田宇宙空間観測所」のURLを載せておく。皆さんも広大な宇宙に夢を馳せ一度伺ってみては如何だろう?

http://www.jaxa.jp/about/centers/udsc/index_j.html

<<<<<<<<<< 今月のワンショット >>>>>>>>>>


以前、錦鯉を飼っていたプラスチック製庭池を再利用し稲作をしている。作付面積0.5坪・・・ちょっと規模の大きいバケツ栽培
である。収穫の秋が近づき穂がこうべを垂れてきた・・・収獲が楽しみである。

それでは又、お会いしましょう。

コメット